地鎮祭
建物の建築や各種土木工事の起工に際し、その土地の神様や建築の神様をお迎えして、敷地を祓い清め工事の安全と無事完成を祈り、建造物の末永い繁栄を願うものです。
地鎮祭とは
地鎮祭とは「じちんさい」「とこしずめのまつり」と云い、建造物の新築や土木工事の起工に際し執り行う神事のことで、土地の神々を祀り鎮め、建築の神に工事の安全を祈り、屋敷の神に建造物が末永く堅固であるように祈願するお祭りです。 また、工事の無事を祈る儀式であることから「安全祈願祭」として行うこともあります。
地鎮祭の起源は古く持統天皇の御代(690年)には、既にこの祭事の記述がみられ古来より土木・建築などに伴う大切な祭りとされており、工事の最初に執り行なわれる最も重要な神事が地鎮祭であります。
当日は、現場の敷地内に南もしくは東向きに祭場を設けて執り行います。四方に竹を立て注連縄を張りめぐらし、祭壇に神籬(ひもろぎ 大榊に御幣と鏡をつけたもの)を立て、地鎮の儀で用いる盛砂や用具を備えます。
そこに神職以下、施主(建築主)・建築業者等が参列し、神事を厳かに斎行致します。地鎮祭の式次第、内容は概ね以下の通りです。
地鎮祭の式次第
一同一礼 | 神事の開始にあたり、参列者全員が祭壇に向かって一礼します。 |
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修祓の儀 | 神事に先立ち、神籬、神饌、玉串、参列者等をお清め致します。 |
降神の儀 | 祭壇に立てた神籬に、土地の神を始め建築と屋敷の神々を招き、お迎え申し上げます。 |
献饌の儀 | 神様に様々な神饌をお供えします。あらかじめ祭壇に盛り付けておき、ここではお神酒の瓶子と水器の蓋を開ける所作を行います。 |
祝詞奏上 | 神事で最も重要なのが祝詞奏上で、土地の神様に建築するご奉告をし、建物が安全堅固に建設され末永く繁栄するようにお願いする旨の詞を申し上げます。 |
清祓の儀 | 大麻(おおぬさ)と切麻(きりぬさ)で敷地内の四隅をお祓いし、お清め致します。 |
地鎮の儀 | 起工の所作を行う、工事の開始を意味する儀式です。 ・刈初(かりぞめ)の儀・・・忌鎌で荒草を刈り取る所作を行います。 ・穿初(うがちぞめ)の儀・・・忌鍬で土地を掘る所作を行います。 ・土覆(つちおい)の儀・・・忌鋤で土を盛り均す所作を行います。 施主や建築業者等が掛け声を三度(エイ、エイ、エ~イ)発しながら行います。尚、場合によってはつるはしやスコップで代用したり、用具や順序が変わることもあります。 |
玉串奉奠 | 神職を始め、施主、建築業者等が工事の安全を祈り、玉串(榊に紙垂を付けたもの)を捧げて二拝二拍手一拝(二礼二拍手一礼)の作法でお参りします。 |
撤饌の儀 | お供えしていた神饌をお下げ致します。ここではお神酒の瓶子と水器の蓋を閉める所作を行います。 |
昇神の儀 | 神籬にお迎えした神々をお送り申し上げます。 |
一同一礼 | 神事の終了にあたり、参列者全員が祭壇に向かって一礼致します。 |
当日お渡しした「鎮物」(しずめもの)は、土地の神様の神霊を和め鎮めるために捧げる供え物で、基礎工事を行う際に建物の中心部に埋納して頂きます。
また本来は、現地にて地鎮祭を斎行するのが最も望ましいことですが、諸事情によりそれが出来ない場合は、社頭(神社)に於いて略式になりますが地鎮祭を執り行うこともできます。その際には、現場の土と設計図面をご持参下さい。
土地の神々に敬意をはらい、その場所を使用させて頂く許可を得て、これから始まる工事の安全と今後の生活の平安を祈るこの祭りの意義は、日常生活全ての営みにおいて、神々の存在を感じ感謝の念を持って暮らしてきた、まさに我々日本人の伝統と信仰に基づいたものだといえるでしょう。